Anthropic CEOダリオ・アモデイ氏「オープンウェイトモデルの禁止を求めたことは一度もない」――安全保障をめぐる立場を表明
Anthropicが2026年7月28日、オープンウェイトAIモデルをめぐる自社の立場を説明する声明を公開しました。CEOのダリオ・アモデイ氏は「Anthropicはオープンウェイトモデルの禁止を求めたことは一度もない」と明言し、危険性のないオープンウェイトモデルはビジネスや開発者・研究者にとって有益な公共財だと評価。その一方で、権威主義国家による軍事的優位の獲得や、蒸留によるAI能力の流出こそが本当の安全保障上の懸念だと整理し、モデル公開の是非とは別軸の規制策を提言しています。
詳細
- 基本スタンス: オープンウェイトモデルの一律禁止には反対の立場を明確化。危険性のないモデルは計算コスト以外に大きな負担なく企業・開発者・研究者に価値を提供し、AIへのアクセス拡大や競争の強化、利用者による技術のコントロール強化につながると評価
- 実際の安全保障上の懸念(1): 権威主義国家が軍事的優位や国内での抑圧のために、米国よりも強力なAIを構築すること――これはオープンウェイトモデルの公開の有無とは独立した懸念だとアモデイ氏は指摘
- 実際の安全保障上の懸念(2): 強力なモデルがサイバー攻撃や生物兵器攻撃を可能にしたり、アライメント上の問題を抱えたりする悪用リスク。オープンウェイトモデルはこの種の悪用リスクが相対的に高いとしつつも、米国内の企業利用を禁止しても悪意ある主体を止めることにはならないと指摘
- 代替の政策提言(1)チップ輸出規制: 先端半導体の対中輸出を制限し、フロンティアモデルの学習能力そのものを制約する
- 代替の政策提言(2)蒸留への取り締まり強化: 権威主義国家の支援を受けた産業規模でのモデル蒸留(distillation)を標的にした対策を強化。Anthropic自身もアカウント停止を含む蒸留対策を実施していると言及
- 代替の政策提言(3)安全性テストの義務化: オープン・クローズド問わず、十分な能力を持つ全モデルに対し、サイバー・生物・アライメントの各リスクについて公開前の安全性テストを義務付けるべきだと提言
- その他の論点: オープンウェイトモデルに関する規制のあり方は「事前に決め打ちするのではなく、検証を重ねる中で形作られるべき」だとし、生物兵器分野における「攻撃側と防御側の非対称性」(AIが病原体を兵器化する速度が、防御側の対応より速くなり得る点)にも懸念を表明。批判対象となった書簡は、広範なアクセスが自動的に防御側の利益になるという単純化した前提に基づいていると指摘
使ってみるには
- 本発表は特定の製品やサービスの提供ではなく、AI政策論争におけるAnthropicの立場表明。原文はAnthropic公式サイトで全文を読むことができる
- AI政策やオープンソースモデルの規制動向に関心がある読者は、原文でアモデイ氏の論拠の詳細(引用元の書簡への反論部分を含む)を確認することを推奨
- Anthropic自身のモデル(Claude)はクローズドウェイトで提供されており、本発表は他社のオープンウェイト戦略や政策論争に対する立場表明である点に留意