OpenAIとAPAが青少年のメンタルヘルスで提携 ― 実際に「新しい」ものは何か
OpenAIが、青少年のメンタルヘルスと責任あるAI利用を目的にアメリカ心理学会(APA)との提携を発表した。ただし発表の建付けを一枚めくってみると、「既に実施済み」として挙げられている内容の大半は、この提携以前から存在するChatGPTの安全機能を今回の枠組みの下でまとめ直したものであり、本当に新しいコミットメントについては依然として日程が示されていない。
詳細
- 「既に実施済み」として挙げられているが実態は既存機能: OpenAIは、地域ごとにローカライズされた危機対応リソースとワンクリックのホットライン、休憩を促す通知、18歳未満アカウント向けの保護者管理機能・安全通知、年齢に応じた安全対策を適用するための年齢推定モデルなどを、この取り組みの一環として挙げている
- 専門家の関与を主張: OpenAIは、ChatGPTが心理的な苦痛のサインを認識する精度の改善に向けて、260人以上のメンタルヘルス専門家と協力してきたとしている
- これまでに開催された会合は1回: OpenAIとAPAは年初に、メンタルヘルスの専門家・研究者・臨床医・教育関係者・若者代表を集めた会合を1回、共同で開催した
- 約束されているがまだ実現していないもの: 保護者・養育者向けの資料作成、臨床医・スクールカウンセラー向けのガイダンス資料の作成、10代の若者や家族との追加のヒアリングセッション、分野横断的な会合の継続などが今後の取り組みとして挙げられているが、いずれも日程や測定可能な目標は示されていない
- 指針となる言葉: OpenAIはこの取り組みの方針として、「AIは若者が頼りにしている現実世界の人間関係やケアを『置き換える』のではなく『強化する』ものであるべきだ」という考え方を掲げている
その後
今回の発表時点で、OpenAIとAPAの提携に直接紐づく形で新たに発表された製品機能や公開された研究、日程が示されたリソースの提供は存在しない。取り上げられている具体的な安全機能はいずれもこの提携以前から存在するものだ。提携の実際の成果としては、これまでのところ共同会合を1回開催したことにとどまり、それ以外はすでに存在する製品機能か、時期未定の将来的な意向のいずれかである。危機対応リソースや保護者管理機能、年齢推定といった安全機能そのものについて知りたい読者は、この提携発表ではなく、OpenAIが別途公開している安全性関連のドキュメントを参照した方がよいだろう。