Sakana AI ニュース 2026/09/28 AI判定 重要度:中

Sakana AI「SAIL」、テスト時スケーリングでロボット軌道生成の成功率を25%→73%に

#Sakana AI#ロボティクス#視覚言語モデル#テスト時スケーリング#研究#IROS2026

Sakana AIは2026年9月28日、東京大学からのインターン生との共同研究として「SAIL(Scaling In-Context Imitation Learning)」を発表しました。これは、訓練時ではなく推論時によりGPU計算を投入することで、視覚言語モデル(VLM)が生成するロボット軌道の信頼性を大幅に向上させる手法です。論文タイトルは「Test-Time Scaling through Iterative Refinement for VLMs as Robot Trajectory Generators」で、IROS 2026への採択が決定し、arXivにプレプリントが公開されています。

詳細

  • 課題: 基盤モデルは1回の生成だけでは実用的なロボット軌道を安定して出力できない。コンテキストへの感度やサンプリングのばらつきにより、大枠では正しい動作であってもわずかな目標位置のずれで失敗してしまう
  • 手法: ポリシーVLMが、検索で取得した少数の成功デモンストレーションを条件として複数の候補軌道を生成。評価VLMがシミュレーション上の実行動画を分析してタスク達成度を判定し、ステップ単位のフィードバックによってモンテカルロ木探索(MCTS)が有望な候補を反復的に改善していく
  • シミュレーション結果: 6種類の操作タスクにおいて、候補を1つだけ生成した場合の成功率25%から、候補数を45まで増やすことで成功率73%まで向上
  • 実機での検証: LeRobot SO-101アームを使ったブロック配置タスクの実機テストでは、候補15個の探索により6回中5回成功
  • 著者: 東京大学の佐藤真琴氏、岩澤有祐氏(佐藤氏はSakana AIでのインターン中に本研究を実施)、およびSakana AIの唐宇進氏、黒木聡氏
  • 発表の場: IROS 2026にて発表予定で、プレプリントはarXiv:2603.08269として公開

その後

SAILは、Sakana AIがロボティクスと「フィジカルAI」領域に注力する流れの一環に位置づけられます。同社は9月24日にJürgen Schmidhuber氏をチーフサイエンティフィックアドバイザーとして迎え入れ、Recursive Self-Improvement Labやワールドモデルの研究を推進しており、このタイミングとも重なります。大規模なモデルを一度訓練するのではなく、SAILは言語モデルの推論分野で普及しつつある「テスト時スケーリング」の発想をロボット制御に応用したもので、追加の訓練なしに、推論時の計算量を増やすことで実世界タスクの成功率を大きく引き上げられることを示しています。