Sakana AI、マルチエージェント統合システムを単一の基盤モデルとして提供する「Fugu」を発表
David Ha氏とLlion Jones氏が創業した東京拠点の研究機関Sakana AIが、2026年6月22日に「Sakana Fugu」を発表しました。複数のモデルを裏側で動的に組み合わせるオーケストレーションの仕組みを、あたかも1つの基盤モデルであるかのように単一APIとして提供する製品です。長年取り組んできた進化的アルゴリズムとオーケストレーション研究を、フロンティアモデルと正面から競う商用製品に仕立てた、同社としてはこれまでで最も野心的なリリースと言えます。
詳細
- 2つのバリエーション: 日常的なタスク向けに速度を重視した「Fugu」と、難易度の高い問題での精度を重視した「Fugu Ultra」を用意
- 仕組み: 単一のTransformerを学習させたモデルではなく、「どのタスクをどのモデルに任せるか」を判断すること自体を学習したモデルが、動的なモデル群の中から担当を選び、処理を振り分け、結果を検証し、最終的な回答を統合する。この一連の流れが1つのAPIエンドポイントの裏側で完結する
- 研究的な系譜: ICLR 2026で発表した2本の論文「Trinity: An Evolved LLM Coordinator」と「Learning to Orchestrate Agents in Natural Language」(通称Conductor)を土台としており、2026年4月に先行公開していた「Fugu beta」の正式版という位置づけ
- 性能に関する主張: Sakana自身の発表によれば、Fugu UltraはAnthropicの「Fable 5」やMythos Previewといった主要フロンティアモデルと「肩を並べる」性能をエンジニアリング・科学・推論系のベンチマークで示しており、なおかつ米国の輸出規制の対象外で構築・提供されている点を強調している
- 初期ユーザーの声(Sakana発表内で引用): あるソフトウェアエンジニアは「コードレビューにおいてFugu Ultraは明らかに優れている……もはやレビューはすべてこのモデルに通すようになった」とコメント。あるセキュリティ専門家は「スコープを逸脱せず、破壊的な操作も避けながら、セキュリティ評価を最初から最後まで完遂した」と述べている
- 戦略的な狙い: 自社のオーケストレーション研究・進化的モデル研究の蓄積を初めて「売り物」として結実させた製品であり、米国発・中国発のフロンティアAIに対する日本発の現実的な代替選択肢として自らを位置づけている
その後
- Sakana AIはFuguシリーズの展開を急速に進め、サイバーセキュリティ特化版「Fugu-Cyber」を2026年7月21日に、Claude Code対応インターフェースを備えた「Fugu-Ultra v1.1」を同年7月24日にそれぞれ投入した
- Fuguは現在 sakana.ai/fugu からAPI経由で利用可能
- 発表全文: sakana.ai/fugu-release