CognitionがDevin活用でRSA-260の素因数分解に成功したと発表 新型GPUシーバーでコストを10分の1に
Cognitionは2026年9月9日、研究者Eric Lu氏が複数のDevinセッションを並行して稼働させ、元々のRSA Factoring Challengeに含まれる260桁の合成数「RSA-260」を素因数分解したとする研究記事を公開しました。これは汎用アルゴリズムによる素因数分解として過去最大の記録であり、従来の公開されている最先端手法と比べて計算コストを約10分の1に削減したとしています。
詳細
- 新記録: RSA-260は130桁の素数2つに分解され、2020年2月に記録された829ビットのRSA-250を上回る新記録となった
- Devinの役割: Lu氏は平均3セッション(最大18セッション)のDevinを並行稼働させ、分解パイプラインの設計と最適化を実施。パラメータ調整、デバッグ、クラスタのオーケストレーション、そしてエンドツーエンドの分解実行まで一貫してDevinが担った
- 中核となる技術革新: CADO-NFSツールキットのCPU専用ラティスシーバーの代替として構築された新型GPUラティスシーバー「glas」。Lu氏が2026年8月13日に出した最初のプロンプトから9時間以内に、Devinは既にCPU性能を上回るGPU実装を作り上げた
- コスト: 約4,900GPU日(約13.5GPU年)、市場のGPU価格ベースで約40万ドル ― 従来の最先端手法の約10分の1のコスト
- タイムライン: 8月13日の最初のプロンプトから9月3日の因数取得まで3週間にわたるプロジェクトで、192セッション、3,328メッセージ、約82,700語に及ぶ人間とDevinの協働が行われた
- セキュリティ上の位置づけ: Cognitionは、現代のシステムで使われるRSA-2048は影響を受けないと強調しており、これは「RSA-1024の約10億倍の強度」であるとしている。RSA-1024の理論的な脆弱性自体は2000年代半ばから知られていたことであり、今回の意義はこの種の大規模計算研究にかかるコストと必要スキルの敷居が下がった点にあるとする
- Lu氏自身の総括: 同氏は、人間によるタスクの分解設計がエージェントの進捗に不可欠だったと述べ、「自分自身、Devin、ハードウェア、そして世界全体の間で、どのように貢献度を配分すればよいのか正直分からない」と語っている
その後
この記事は、Cognitionが20億ドル超のシリーズE調達を発表した翌日に公開されたもので、商業面と技術面という2つの大きな話題が連続することになりました。通常の製品アップデート記事とは異なり、今回はDevinが従来型のソフトウェア保守業務の枠を大きく超えて、暗号解読やGPU性能エンジニアリングといった専門性の高いオープンエンドの課題に投入できることを示す研究発表として位置付けられています。ただし、人間が問題を適切な単位に分解することが前提です。Cognitionによれば、同様の手法は理論上RSA-1024にも拡張可能だが、計算量のギャップがはるかに大きいため、コストは約3,000万ドルに達する見込みだとしています。